「忘年会」が好きは六六%

 年の瀬は、ただでさえ忙しいのに寸暇を縫って日本中で忘年会が開かれます。一年の終わりを親しい仲間と振り返るというこの習慣は万国共通かと思いきや、欧米諸国ではほとんどおこなわれていないと聞きます。
 忘年会の起源は鎌倉時代の年忘れという行事にまで遡れます。これは貴族や上級武士たちが、連歌などを楽しみながら一年を振り返るというもので、宴会ではありませんでした。
 現在のように宴会という形式で普及したのは明治時代。夏目漱石の『吾輩は猫である』には忘年会という言葉も登場し、年末に帰省する前に役人や学生が集まって飲むシーンはかなり定着してきたようです。
 その後、いろいろな世代、集団に広がった忘年会ですが、会社内など仕事関係のものでは、若手や女子社員には敬遠され気味と言われています。かつてのモノ不足の時代と違い、酒も食も個人でいくらでもよいものを体験できるようになったという時代変化もありますし、泥酔して人に迷惑をかける人が多いからでしょうか。アルコールハラスメントが、酒嫌いを育成するという観点もあるわけで、礼節をわきまえた飲み方を心がけたいものです。
 アンケート結果は、それでも全体の六六%の方が「好き」とこたえています。しかし性別に見ると男性は七一%が「好き」なのに対して、女性では五七%とかなり低くなります。年齢別では大差ない中で、意外に四〇代だけが六一%と他の世代よりも低く、六〇代以上になると「好き」が大幅に増えて七八%となっています。
 飲酒頻度別では、「週一回未満」というあまりお酒を飲んでいない層だけが、「嫌い」が五三%と過半数を占めています。他の人たちでは、七割前後で大きな差は見られません。
【マスターTの感想】
 忘年会が好きな人も嫌いな人も思うことは同じでした。気の置けない仲間との忘年会を別にすると、礼節をわきまえず一線を越える人が多く、それで嫌な思いをさせられたかどうかで、好きと嫌いが別れます。ふだんは話せない人とも交流できる場として評価している人も多いので、その出会いをプラスにできるかということも、評価の分かれるところです。
 一方で、働き盛りの四〇代に忘年会を嫌う人が多いというのもおもしろい結果でした。この年代は旧世代と価値観が大きく変わった新人類との狭間で、一番酒席で気疲れしているのかもしれません。
 ともかく「無理強いしない」「セクハラしない」「長説教しない」「酔いすぎて自爆しない」この四項目を守っていれば、最低限他の参加者に嫌な思いをさせることはありません。今年の忘年会は「他人に迷惑をかけない」ということを肝に銘じていきたいものです。 (マスターT)
【「好き」な理由】
普段飲みに行く機会が余りなく、忘年会など口実があると行きやすいから。皆でわいわい楽しく飲めればいい。飲み放題食べ放題で、自分の欲しい物を自分のペースで飲むのが好ましい(すばる:女性・二〇代)
今年一年よく頑張った! これからも付き合わないかん。それやったら今年一年の「ごめんなさい」をお互いに言いあってきれいさっぱり水に流しましょう、という気持ちで忘年会に臨みます。「まぁ、聞いてくれやぁ!」と言ってあなたに近づく人が、普段ゆっくり話す機会の無い人ならチャンス! 大いにコミュニケーションをとっておいしいお酒を紹介し合いましょう。楽しみましょう。忘年会!(琵琶湖のカメ:女性・四〇代)
一年の〆という感じで大好きでしたよ。会社では上司に普段言えない事を、お酒を飲んだら言える事もあるし、楽しくワイワイお酒を飲みたいです(くまちゃん:女性・四〇代)
仕事関係の飲み会も普段話さない話ができるから楽しい。でもワンマン上司がいるときついかも。好ましい飲み方っていうのはないけど、乾杯だけはみんなお酒を持って欲しい。乾杯後は自分が好きなお酒をいただきます(シンザン:男性・二〇代)
若い頃は、酒もろくに飲めず九州出身の酒豪先輩達にカモにされていましたが、酒を囲んでのその人の本音が聞けるということはよいことだと思います。忘年会は会社外の方と飲む機会が最近増え、自分の知識・教養の狭さを痛感する場でもあります(cactus8:男性・四〇代)
【「嫌い」な理由】
礼に始まり乱に終わるから嫌い。無理やり二次会に誘うから嫌い(古河公方:女性・二〇代)
会社の忘年会が大嫌いです。上司は酔っ払って本性丸出しです。昨年は三〇歳になるということでからかわれ、このおじさんたちは三〇になったら女と思っていないなあと思いました。お酒は上品に少しずつ飲むのが本当の飲み方だと思うので、もったいない(USAKO:女性・三〇代)
席によって左右されます。気を使う相手でも、仕事やプライベートでプラスになる相手ならOK! 一部の楽しくない相手対応の生贄にさえならなければ、その後の仕事をスムーズにし、普段聞けない情報収集もできて役に立つ。たとえ楽しくなくても、せめて何らかの得るものがあるように活用しています。そんな計略をしながらの飲み会って、やっぱり疲れる(みわ:女性・二〇代)
いつも誰かが暴れ、仲裁役になっちゃうから嫌です(コナン:男性・四〇代)
人数や予算の関係で、酒も選べないケースが多いし、料理も適当であるように感じます。ひたすらつきあいで、あまり酒を飲んでいる感じさえしない(アルバコア:男性・四〇代)
酒が強いので、酔いつぶれた人達の介護をして酔いがさめる。最悪なのは、後始末をしなくてはならないこと(いち:男性・四〇代) ■

2005年10月実施