「ヌーボワイン」が好きは六五%

 果実酒類(以下ワインと記す)の国内消費量のピークは、平成一〇年度で、三一万三〇〇〇?(七二〇?ボトル換算で四億四七三一万本)です。その後は他の酒類同様に減少傾向をたどり、平成一六年の出荷実績は三億六〇〇〇万本あまりでした。
 今までは何回かのワインブームを経る毎に基礎数字を増やして、安定的に成長してきた日本のワイン市場もしばらくは一休みといった状況です。その中で唯一気を吐いているのが、ヌーボワインで、特にボジョレーヌーボは毎年のように輸入数量の記録を更新し続け、ことしは九四万箱に達し、一〇〇万箱も視野に入ってきました。
 日本でボジョレーヌーボが好まれるのは、お祭り好き、季節の風物詩好きという国民性によるところが大きいのでしょう。ボジョレーヌーボのフレッシュでフルーティな味わいは、他のワインにはない特徴ですが、航空機で輸入していることもあり、味に比べて割高感は否めません。実際に同じワインでも船便で一二月中旬に入荷するものは、一〇〇〇円ちょっとで買い求めることができます。そのあたりをどう評価しているかが、今回の回答の設問の隠れテーマでもありました。
 アンケート結果は、全体の六五%の方が「好き」と答えています。性別に見ると若干ですが女性のほうが「好き」が多く六八%で、男性では六三%にとどまりました。年齢別に見てもほぼどの年代でも六二〜六六%とあまり差が見られませんでした(六〇代以上は対象人数が少ないので参考扱いです)。
 飲酒頻度別にみると、さすがに「週一回未満」というあまりお酒を飲んでいない層は少なくなりますが、それでも「好き」が五〇%もあります。他の人たちでは、五九%〜七二%であり、週に一回以上酒を飲むという人であれば、ヌーボワインに対する好き・嫌いには特徴がないようです。
【マスターTの感想】
 私がはじめてボジョレーヌーボを飲んだのは、一九八四年のこと。当時は一本三〇〇〇円もしながら、価格の半分が航空運賃代で、販売している会社はあまり儲からない商品だと聞かされて大変驚いたものです。
 バブル景気の頃には、解禁前夜に輸入会社のセールスマンが税関で待ちかまえ、通関されるや車に積み込み、深夜の銀座や六本木に運び世界一早いボジョレーヌーボを楽しむ集いなどが開かれていたことも懐かしいことです。今はフランスから早めに出荷できるようになり、事前に配荷が完了して、スーパーやコンビニなど深夜営業の店ではカウントダウンと共に販売されるのだから昔日の感があります。酒類小売免許緩和の影響も、ヌーボワインの拡大には大きく寄与しているのでしょう。
 結果としては、ふだんはあまりワインを飲まない人でもヌーボだけは飲むという人もいるように、ワイン市場の裾野を広げるのには大いに貢献しているものと思われます。
 ヌーボワインはうまいまずいを語るのではなく、旬の風物として楽しむべしというのが私の持論です。酒であって酒でない。旬の魚介のように巡る季節を実感するために飲んでみる。それがヌーボワインの醍醐味ではないでしょうか。 (マスターT)
【「好き」な理由】
軽くて飲みやすい。時期が決まっているので友人との飲み会のいい口実になる(あひるまめ:女性・二〇代)
秋から冬への季節を感じる。また、社会人になってから毎年購入しラベルを集めている。ラベルの枚数と社会人としての年輪を重ね合わせてしまう(fjinag:男性・二〇代)
ヌーボワインと聞くと、言葉だけで心トキメき、他には無いお洒落な雰囲気と、奥深い香りの良さが大好きです(そんじょう:女性・三〇代)
なんと言ってもフレッシュさが好きです。ですから味によっては好きでない年もあります(おにょ:女性・三〇代)
ヌーボが一番盛り上がっていた時期に本格的にお酒を飲み始めた者としては、お祭りの一つという感が強くあります。味だけで言えばもっとおいしいものがたくさんありますが、この時期はつい手にとってしまいます。この時期にヌーボを飲むことが、自分の中で一つの物語となっている(かよこ:男性・三〇代)
やはり、一年に一度の新酒のワインというのは飲んでみて気分がいいものです。でも、正直言って、もう少し低価格でもいいのではないかと思います(きーあん:女性・四〇代)
フレッシュな味わいがいいです。毎年、友人達とワイワイ飲みながら楽しみます。今年は一一/一九に集まります(ゆっきー三六:男性・四〇代)
毎年の解禁に合わせて世界中でボジョレヌーボが飲まれるのに参加して新酒の味と香りを味わうのは楽しみである。もっとも味が若すぎてジュースに近いので、おいしさには欠ける(かず一〇九:男性・五〇代)
【「嫌い」な理由】
ヌーボ、ヌーボと安っぽくコンビニでも売っているので、特別感というより、イベント感のほうが強くて、「本当に美味しいの?」って感じ(みわんち:女性・二〇代)
初かつおと一緒で味のわりに高いから。初ものは騒ぐほどおいしくない(BORA:男性・三〇代)
味はそれほど嫌いではないが、いっせいに飲んでいるのをみているとあほくさい(カオス:男性・四〇代)
特別おいしいと思いません。いつも飲んでいるワインのほうが、選りすぐられていておいしいです。宣伝に踊らされているだけだと思います(もりもり巨峰:女性・四〇代)
前に一度、ボジョレーヌーボを飲んだが、騒ぐ割にたいしてうまくない(ハニャ公:男性・四〇代)
以前はよく飲みましたが、香りと軽さだけなので、予約してまでは買いません(埼玉のバッカス:男性・五〇代) ■

2005年11月実施