ビールなど低アルコール飲料の酒税統一に反対は七九%

 日露戦争の頃には国家の税収の三分の一を占め重要であった酒税も現在では税収全体の二%に過ぎません。特に消費税導入以降は、酒税の上に消費税もかかるという二重課税になっているのですから、思い切った減税も期待したいところですが、なかなか難しいようです。
 来年度からは、価格(酒税)が安く、人気の集まる第三のビールが増税され、ビールがほんのわずかだけ減税されるようです。さらに将来は、ビール・発泡酒・第三のビール・チューハイなど低アルコール酒類の酒税額は統一され、今後は第三のビールのような節税型商品は生まれないようになります。
 このような酒税改正の考え方に対して、回答者の意見は全体の七九%が「反対」と答えています。特に低価格の酒類が増税されるということに反対という意見が多く、統一されるのでも、減税されるのであれば結果はかなり異なるようです。
 性別には男性は賛成が二四%に対して、女性では賛成は一七%とより価格にシビアな一面がうかがえます。年齢別には賛成の多い順番に見ると、六〇代以上三七%、二〇代二五%、三〇代二二%となり、四〇代〜五〇代では賛成の比率が一割台と低くなっています。今回増税される第三のビールは家庭内での消費が中心なので、飲み盛りの世代での反発が強いのは理解できます。実際に飲酒頻度別に見ると、もっとも賛成が多いのは「週一回未満」で二九%なのに対して、「週三〜四日」になると賛成は一割台となっています。
【マスターTの感想】
 日本の酒税制度には、富裕税的な考え方が長く残っていました。それは分類差等課税という考え方で、酒類を細かく分類して、贅沢な酒類の税率を高く、大衆酒には低い税率を適用するというものです。したがって、同じ蒸留酒でもウイスキー類の酒税率と焼酎のそれでは大きな格差がありました。さらに清酒やウイスキーには級別制度もあり、特級酒には二級酒の数倍の酒税が課せられ、ウイスキーの高額品には従価税を課して酒税額をさらに上乗せするという方式もあったということにもなっていました。
 しかし、今では従価税は廃止になり、級別制度もなくなり、蒸留酒の種別税額格差も外圧によりほぼなくなっています。欧米諸国の酒税制度と比べて大きく異なるのはビールの酒税率が突出して高いということだけになりました。
 確かに、かつてビールは富裕層の飲み物でしたが現在では完全に大衆商品です。同じロジックであれば減税されてもよいはずですが、販売量が増加の一途をたどっていたので減税はありませんでした。このような背景から他の国にない発泡酒、そして第三のビールといった節税商品が生まれてきたのです。
 実質的には大衆課税強化となる今回の酒税改正に大多数の方が反対というのは、日本の伝統的な酒税政策に慣れていることもあるのでしょう。しかし酒税の主流は度数別課税です。酒税は基本的な課税体系を簡素化し、富裕税的な思想は排除したいものです。
【「YES」の理由】
しばらく改正しなくていいように、しっかり考えてほしい。ちょこちょこ変更している手間が無駄(めろん:女性・二〇代)
ビール系飲料の酒税を定率とするのは妥当。低価格商品が必要であれば、メーカー側でコストの低い商品を開発するべき。そのほうが商品のグレードを消費者に伝えやすい(atletico:男性・二〇代)
企業は、税率の安い第三のビールに力を入れる理由がなくなるわけで、 「よりおいしい=より売れるもの」を意識した酒を造るようになるのではないか。低アル酒の酒税統一には賛成(タツ:男性・二〇代)
ビールの税がやけに高いように思います。不公平な感じがしますので、税の統一には賛成です。ただ、もっと低くすべきだと思いますが(あおいちゃん:女性・四〇代)
テイストよりも安さといった風潮に一応の区切りを持たせることになり、これはこれでよかったように思う(だいさん:男性・五〇代)
開発メーカーの努力を無視するようで気の毒ではありますが、低価格より味で勝負するほうが本筋かと思う(みっちゃん002:男性・六〇代以上)
【「NO」の理由】
庶民の楽しみである酒類を値上げするのは反対。もっと高級品に税金をかけてほしい(Hiromi:女性・二〇代)
酒税の違いからいろいろな種類の飲み物が出てきてすごくおもしろいです。各メーカーの工夫やアイデアによって出来る新製品に驚きを隠せません。酒税が改正されたらそんな楽しみもなくなりそうだから反対です(指圧マン:男性・二〇代)
なぜビール類似の飲料が誕生してきたのかを考えれば理由は明白。所得税も収入に応じた税負担なのだから酒類にもそれぞれの累進課税があってもよい(もりき:男性・三〇代)
酒税を統一するなら、すべての酒をアルコール度数ベースにすべき。このような改正は、メーカーの新商品開発意欲を殺ぐし、消費者としては迷惑至極(たけやん:男性・四〇代)
異なる酒の税率は異なっていてほしい。日本政府はビール愛飲者を徹底的になめている。私は、ビール三五〇?を一〇〇円程度で飲みたい(カイマンズ:女性・五〇代)
仕事後の一杯を楽しみにしている人は年齢も、所得も、違うはず。安いお酒を選ばざるを得ない人もいるはずです(のんべえのんちゃん:男性・五〇代)
第三のビールには酒造メーカーの努力により高度の開発技術が発揮されたものがある。改正方針はこの努力を無にするもの(やまちゃん:男性・六〇代以上) ■

2006年01月実施