プレミアムビールを飲む人は五〇%

 ビールタイプの酒の中でもっとも税額の安い「その他の雑酒」は、ねらい打ちの増税を受けながらも、発泡酒からさらにシフトが進んでいるようです。その一方で、昨年ザ・プレミアムモルツ(サントリー)がモンドセレクション最高金賞を受賞して以来、プレミアムビールもブームの兆しを見せ始めています。
 プレミアムビールは公正競争規約などの表示上明確な規定はないのですが、おおむね「麦芽一〇〇%で味が濃い」というタイプが多くなっています。
 プレミアムビールをよく飲むと回答された方は、今回の回答者の半分を占めました。性別では男性がほんの少し高く五一%、年齢別でも、ほとんど差はありませんが、六〇代以上が少し低く四五%です。飲酒頻度でみると「ほとんど毎日」の層では五三%、他も五〇〜五一%と差が余りない中で、「週一回未満」では二六%と極端に少なくなりました。
【マスターTの感想】
 プレミアムビールをよく飲むかどうかという分かれ目は、実は経済的な問題ではないという気がしました。回答いただいたみなさまのご意見を読んでいると、NOの方は「高いから」「普通のビール(発泡酒)で満足できる」という当たり前の意見です。それに対してYESの方の理由からは、味覚面での評価もあるものの、それ以上に「なにかの区切りにする」「特別な時に飲む」という気持ちが目立ちました。
 もともとお酒を飲む理由のひとつに、日常から精神を解放させるということがあります。しかし、ふだんの飲酒はあまりにも当たり前で、そこに特別な意味を感じさせることはなかなかできません。かと言って、「豪華なレストランで食事をする」「高級な雰囲気を味わう」などということは、費用と準備に時間がかかり、現実化は難しいものです。それに比べると一缶三〇円程度多く出費するだけで、記号としてもわかりやすいこの商品は、わずか一〇〇〇円プラスするだけでビジネスクラス並のサービスを受けられることで人気の日本航空のJクラスと似ています。
 味覚面でも、スッキリとかキレといった味わいが主流な一般品に対して、プレミアムは味や香りが豊かでぜいたく感があり、飲み手の期待にマッチしています。
 ビールのような大衆飲料の中にある手軽な贅沢は、その気になれば誰でも参加することが可能であり、少々高いプレミアムビールというマーケットはさらに大きくなりそうな予感がします。
【「YES」の理由】
サッパリ軽めの発泡酒なども喉の渇きを癒すにはおいしいのですが、どっしりした本物の旨さを感じるのはやはりプレミアムビール。しっかり飲みたいと思う時はこれを選びます(ダイチャン:女性・二〇代)
ちょっと贅沢したい時だけです。平日はキレのある辛口を好んで飲みますが、ゆっくり過ごす休日には必ずプレミアムビールを飲んでいます。理由は、コクがあって、一口一口を味わいながら飲みたいからでしょうか(もちこ:女性・二〇代)
来客がある時には歓迎の意を伝える効果が高まるから。話題のひとつにもなる(misae:女性・三〇代)
はじめはプレミアムという言葉に誘われたのですが、やっぱりおいしい。毎日は飲めませんが週末は必ず飲んでいます(ka-zu:男性・三〇代)
私の場合プレミアムビール=ヱビスなのです。理由は、麦芽一〇〇%のイメージから来る素材への信頼感と味わいです。少しぬるめにして飲むほうが味わいもよくわかり、好みです(pinotgris:男性・四〇代)
一人で飲む時はたくさん飲めないので、味わえるかなと思いながら飲みます。濃い感じがします。缶ビールのデザインをながめながら結構楽しめます(潤子:女性・四〇代)
ビールが止渇飲料なのか酒なのか、飲むタイミングと場面によって異なってきます。酒だと思えば旨さが勝っているので、エールだとか国産プレミアムビールだとか、そんなものにアクセスしたくなります。ただの止渇飲料としては不向きですが、「酒を飲もう」と思った時のアルコール飲料として選択します(茄子茗荷:男性・五〇代)
六三歳、現役会社員ですが、新しいステップの助走に入っているつもりです。プレミアムビールはゆっくりライフでは欠かせないもののひとつです(トミー:男性・六〇代以上)
【「NO」の理由】
「お金ないも〜ん」と今も第三のビールを飲んでいます。第三のビールと低カロリーがセットなのは、節約と健康のすり替え?「やっぱ、うっす〜」と思いつつも、どっかで計算しています、この分アイスが食べられるぞ、シメシメとか。このアイスとタクシー代を三〇〇m分ケチれば、プレミアムは手が届く範囲内なんですけどね(nyo:女性・二〇代)
特に銘柄などこだわっていないので。風呂上がりにおいしく飲めれば種類は問わない(malulu:男性・三〇代)
プレミアムビールを飲みたいのですが、価格が高くてというより、第三のビール等が格安なのです。でも、居酒屋など外出した時にたまに飲みます(まるこ:女性・三〇代)
サラリーマンにとって、日常的に飲み続けるのは厳しいものがあります。リーズナブルな発泡酒に比べるとその旨み、コクの違いは歴然! 涙ぐましいのですが、仕事が一段落ついたとか、頑張った時などに「自分へのご褒美」感覚でたまに飲んでいます(なかけい:男性・四〇代)
まったく飲まないわけではありませんが、普段は経済的な理由もあり飲みません。年齢と共に味覚も鈍くなるようで、おいしいものも何時も飲んでいると判らなくなり、たまに飲むと「おいしい」と感じます、このほうが得だと思います(tmori:男性・六〇代以上) ■

2006年06月実施