国酒を知っているのは22%

 「日本酒を国酒と呼ぼう」ということが始まったのは30年前の大平内閣のときだ。きっかけは1972年の日中国交回復で、中国側が白酒(ぱいちゅう)での乾杯で日本側を遇したことに影響を受けたからである。それまでの日本政府は、外交の場面ではフランス料理とワインとしており、日本酒がそのような晩餐に登場することはほとんどなかった。そこで国を代表する酒「国酒」とすることで、その地位を向上させようと考えたのであろう。
 以来、歴代の総理大臣による国酒と揮毫(きごう)された色紙が作成され、日本酒造組合中央会に展示されている。しかし、この活動は業界内にとどまり、日本酒を国酒と呼ぶことを知っている人は少ない。
 回答者403名中、国酒の呼び方を知っていた人は22%にとどまった。性別では男性が26%、女性が15%。年齢別では20代〜50代までは18%〜22%と低く、60代以上だけが46%と際だって高い。飲酒頻度別ではほとんど毎日の人は27%と高かった。
【マスターTの感想】
 国酒という言葉が広がると考えている人は極めて少ない。そして、知っている人のほうが、この呼び方に政治色を感じて嫌う傾向が強かった。すでにある日本酒、SAKEという言葉が十分に定着しているので、これに加えるにはかなりの力が必要になりそうである。
【Yes(知っている人)の感想・意見】
「国酒」という呼称は、文化を守るという色合いが強い響きに感じる。メーカーや行政等が積極的に使用しない限り、広まるとは考えにくい(ひでちん:男性・20代)
せっかく「清」酒という、澄んで清冽な日本酒にぴったりの呼び名があるのに、わざわざ濁って汚いイメージの「国」の字を使うなんて、広まらなくて当たり前です(赤:女性・30代)
日本独自のお酒という意味で良い呼び方だと思います。でも国酒という呼び方を無理に広める必要もない感じがします(すかいれい:男性・30代)
日本酒という呼び方があり、通用しているので、今更別の呼び方をする必要はない。国酒という響きも国粋主義的で嫌(akkun:男性・40代)
国酒という表現は間違っていないが違和感を感じる(夢屋だよー:男性・50代)
日本酒と言ったほうがおいしそうに感じる。だから広まらない(魔王SS:男性・50代)
日本酒は日本の文化。ぜひ広げたいと思います(ぬれおちば:男性・60代以上)
「こくしゅ」とパソコンで入力しても、国手、国主は出ても残念ながら国酒はありません。当社にも外国人がご来店されますが、「サケ」「ショウチュウ」で日本酒、焼酎と理解されます。「もったいない」が海外で理解され逆輸入されている今、「サケ」=「日本酒」(日本酒の品格あるもの)と統一すべきでしょう(義郎:男性・60代以上)
【No(知らなかった人)の感想・意見】
素敵だと思います。日本を代表する物の一つだと思いますし、神秘的な響きを持つ呼び方に感じます(しゃくれブタ:女性・20代)
国技や国歌があるのだから、国酒があってもいいと思うが、日本酒を総じて国酒と呼ぶのではアバウトすぎる(サトウ:男性・20代)
呼び方は広まらなくてもいいが、個々に「国酒」として意識して清酒を飲む傾向になるのはいいと思う(まりお:男性・30代)
焼酎・泡盛など、他にも古くから日本の文化に根ざした酒があるので、日本酒だけを国酒と呼ぶことには抵抗がある(takugaku:女性・30代)
日本酒を国酒と呼ぶことを悪いこととは思いません。でも、必要があるのか疑問です。軍国主義の時代のような窮屈な閉塞感を受けるのは否めませんね(ravissant:女性・40代)
私は中学で「国語」を教えています。これと同じですね。英語という教科はありますが、日本語は国語と呼びます。自国の伝統というのは大切なものです。他国のものとは一線を画す意味でも、日本酒とせずに、国酒とよぶことのほうがいいと思います(国際人:男性・40代)
外国人力士にああ頑張られては、国技の名前も肩無しのような気がする。 それと同じで外国産のうまい日本酒がどんどん入ってきたら国酒もおかしいのでは…(ihs0922:男性・40代)
国酒とは呼びませんが、感覚的には国酒です。だから『日本酒』と呼んでいるのです。広まる可能性は少ない(はんさん:男性・50代)■

2006年08月実施