参加する回数が増えると思う人は三六%

 日本で忘年会が広くおこなわれるようになったのは、明治時代からと言われている。最初は年末年始を故郷で過ごす学生や官吏などが、その惜別の宴をかねておこなわれていたようだ。現在では、この惜別という概念はほとんどなくなり、気のあった友人や仕事関係者などと集まって一年の労をねぎらい合うということがほとんどである。
 今年は都市部を中心に地価も上昇に転じ、大手企業の決算も軒並み好調という具合で、本来ならば、忘年会も派手におこなわれやすい環境にある。しかし、コトはそう単純ではなく、格差社会という言葉のように、財布を引き締める人が多いようだ。
 回答を見ると三六%の人が、「参加する忘年会の回数が増える」と答えている。性別には差はないが、年齢別では、四〇代がもっとも高く三八%が増えると予想している。飲酒頻度別では、やはりふだんからよく飲む人ほど「増える」と予想する人が多いのは、願望が入っているのかもしれない。逆に、飲酒頻度が週に一日未満の人では、「増える」は二五%にとどまっていた。
【マスターTの感想】
 忘年会というと昔は、憂さばらし・無礼講といった色彩が強く泥酔するまで飲む人も多かった。今でも皆無ではないが、道端で寝ころぶ泥酔者を見かけることは、ほとんどなくなった。
 四〇代で回数が増えそうであるという回答が多くなったのは、仕事上の立場が変わっていく転換期にあるからではないだろうか。二〇代でも、人脈を広げるチャンスであるととらえて、積極的に参加するという回答者も見られている。一方で、定年退職するので、今年はできるだけ参加するという意見もみられた。
 若者の積極参加が増え、団塊の世代の退職が続くことを考えると来年・再来年と一時的に忘年会の回数が増えることもあり得る。また、九州地区が忘年会の回数が増えるという回答がもっとも低かったのは、夏に起きた飲酒運転事故と無関係とは思えない。
【「YES」の理由】
忘年会は交流の場。いろいろな人脈を増やしていくことができます。景気が良くなると、ビジネスも活発化するはずです。そのために、忘年会に積極的に参加して、人脈を作りたいと思います(けんぽん:男性・二〇代)
会社関係や学生時代の友達、彼の友達など年々増えていきます。仕事をしているとなかなか会えないので、毎年回数が増えます(SK:女性・二〇代)
新しい仕事で知り合った人数が多いので、たぶん一〜二回は増えそう。若い人・飲まない人が多いので、参加費用は逆に安くなるかも(nekomodoki:女性・三〇代)
仕事仲間からの誘いだけでなく、学生時代の同級生等からの誘いが増えてきた(川崎:男性・三〇代)
子供の幼稚園の友人母や、長男・長女の友人母、子供会、役員会、同級生、グルメ友達、飲み友達、主人等々。少人数毎なので回数が多くなりそう(ビンレモン:女性・四〇代)
少し前までは、会社の忘年会もなかったのですが、昨年から復活し部課単位の忘年会もあります。景気は、なんだかんだいっても上向きになったのでしょうか。しばらくやっていなかった同期忘年会も復活しそうです(ゆりきょんきょん:男性・四〇代)
仕事上の忘年会は意識的に減らしているが、子供のスポーツ関係の忘年会や趣味の世界の延長線上での交友関係の忘年会は増えると思う(Spirits_a_Drop:男性・四〇代)
仕事がらみは、減ってきて、友人たちとの「忘年会がてらに、たまには会いましょう」というのが増えそうな予感(ルカ:女性・五〇代)
転勤で今はバス二〇分の距離になり、忘年会も気軽に参加できます。それと昔の友人とも連絡がつき、今年は確実に増えます(はんさん:男性・五〇代)
今までは繁忙で断っていたが、定年で会社を辞めて暇になった。昔からの友人や近所のサークル、会社のOB会にも参加できる(ちょっと一杯:男性・六〇代以上)
来春定年です。職場の忘年会もおそらく最後かと思います。さまざまな酒の場でのできごとがあり、皆よい想い出です。一週間ほとんど毎日の誘いで断ることも多かったですが、今年は心行くまで集いたいと思います(とんとん60:男性・六〇代以上)
【「NO」の理由】
仲の良い人達とは飲みに行くが、得意先など大勢でやる忘年会は減ると思う。飲酒運転に厳しい風潮があるのも人数が集まらない原因になりそう(masa:男性・二〇代)
昔に比べて「年末年始」の生活スタイルが変わってしまい、「忘年」「新年」の意識が低くなっていると思います。最近の「飲酒事故」問題がマスコミを賑わせているので、過去稀に見る大減少になると確信しています(ゆうかゆうか:男性・三〇代)
会社から忘年会の補助金が出なくなったため(フジタク:男性・三〇代)
景気が良くなると、忘年会をするお店はランクアップしますが、回数は増えません。私は毎年五回です(コイチ:男性・四〇代)
飲酒運転の罰則が職場でも厳しくなり、上司も慎重になので参加者も減ると思う。便乗して不参加という人も増える(プリン:男性・四〇代)
趣味やボランティア仲間との忘年会が中心です。「参加者募集」はクチコミですが、今のところ「類が友を呼ぶ」で拡大傾向にあるので人数は増えそう(金沢三水会:男性・五〇代)
回数は変わらないと思う。忘年会の相手は、転勤退職など特別な事情がない限り変わらないのが普通です。相手は、職場(所属課、同期会)、取引先(接待をかねて二〜三回)、大学の同窓会のグループで計五〜六回です(TAD:男性・五〇代) ■

2006年10月実施