今年、ビール類が減った人は五四%

 酒類消費数量の七割を占めるビール類の需要動向が停滞している。今年の一月〜九月ではビール類全体(ビール・発泡酒・新ジャンルの雑酒・リキュール含む)でも前年比九八・七%と減少していたことが一般マスコミでも大きく取り上げられた。二〇〇五年から微減で推移しているのに、今回ニュースとなった理由は今年は記録的な猛暑であったにも関わらずビール消費が好転しなかったからだ。減少の要因はさまざまに考えられる。アルコール飲料離れ、飲酒運転規制の強化、若者を中心とした「とりあえずビール」離れ、ビールの苦みが嫌い、価格要素などが複雑に絡み合って起きている。
 今年ビール類を飲むことが減りましたか? という設問に対しての回答結果は、YESが五四%、NOが四六%と全体ではほぼ均衡した回答者像となった。YESは、男性が五一%、女性五八%と女性のほうが多い。年代別では、三〇代が五九%ともっとも高く、二〇代と四〇代は四九%と、変化した人は比較的少ない。また、飲用頻度別に見ると、飲酒機会が週一回未満という、もともと継続的な飲酒習慣の弱い層を除けば、飲酒頻度の低い人ほどビール離れが進んでいるようだ。
【マスターTの感想】
 「ビールは苦いので飲みやすくておいしいチューハイや梅酒・カクテルを飲むようになった」今世紀に入ってからよく耳にするフレーズである。確かに自分もはじめてビールを飲んだときには「こんな苦いモノより日本酒のほうが甘くて飲みやすい」と思ったものだ。しかし、いつのまにか大多数の人々と同じようにビールを毎日のように飲むようになり、その苦さがおいしく感じられるようになっていった。そもそも甘い=おいしい、苦い=まずいと感じるのは、生得的に得た子供の頃の感覚である。成長と共にいろいろな食品を食べる中で、苦味、旨みといったものを感じる味蕾細胞が発達していくわけだ。しかも苦みというものには習慣性もあるという。ビールメーカーは苦みにNOを突きつけてくる消費者に迎合して、苦くない酒類ばかり開発していると、将来の国内ビール市場は、一層シュリンクする可能性が高くなるように思う。またビールの飲用シーンが格好よく見えるようにする工夫も求められるのだろう。
【YESの感想や意見】
サワーを飲む機会が増えた。また、食事の際には、焼酎を飲む機会が増えた。ビールは太るイメージがある(まにあ:男性・二〇代)
もともとビールは苦手。日本酒や梅酒、カクテルなど甘いものを選びます(づづ:女性・二〇代)
カロリーが気になるから晩酌ではビール類から、すぐ甲類焼酎・ウイスキーに進むことが多くなった。飲酒の総量は変わっていないと思う(さけいぬ:男性・三〇代)
ビールは酒税も高くかなり減りました。その替わりに輸入物のウィスキーが大幅に増えています(雄二:男性・三〇代)
子供ができてから、妻が指導権を持って、いつの間にか二缶が一缶になった。そのかわりに焼酎を飲みます(giyarari-1:男性・三〇代)
ビールよりはサワーのほうが好き。店でも瓶ではなく、ジョッキで一人ずつ注文するので周りに合わせなくても気にならない(bon:女性・三〇代)
毎日となると、焼酎とか甘くて美味しいカクテルが一〇〇円前後で手に入るので、そっちに替わってきていますね(すらすぺ:女性・三〇代)
少し痛風ぎみでビールはプリン体が多いと聞いているので控えている(ZZR:男性・四〇代)
炭酸系のビールはどちらかというとのどの渇きをいやすために飲むアルコールです。食べ物も焼肉とか濃い味なら合いますが、淡白な和食には日本酒やウイスキーのほうが優ります。私の場合には年齢による食生活の変化が最大の原因でしょう(パピヨン:女性・四〇代)
実は元々日本酒好きで、ビールは嫌いでした。最近は最初から最後まで日本酒で通すことが多くなりました。これが許される立場、雰囲気になったということでしょうか。ビールや日本酒が減ってきたのは妙な健康志向が影響しているのかも知れません。ビールは糖分が多い、日本酒は二日酔いする。でもなんだって飲みすぎれば体に良いわけありません。(michi:男性・五〇代)
外で飲む回数が減ったので、必然的にビール類を飲む量が減ったのだと思う。若い頃のように馬鹿飲みもしなくなり、量より質ということになったのも大きい。かといって、ベルギービールや各地の地ビールが近くの酒屋やコンビニで簡単に手に入るわけでもないのでビールが減っている(夢屋だよ〜ん:男性・五〇代)
【NOの感想や意見】
私はむしろビールを飲むことが増えています。カクテルの低カロリー化、それでいておいしく、喉に爽やかなのが増えたからじゃないでしょうか? 甘くないカクテル、チューハイが増えたのもビール派には浮気心をそそられたのかもしれませんね(min:女性・二〇代)
自身はビールが減ったということはない。ただ飲みに行くと、メニューに焼酎や日本酒の種類が多くなり、飲んでみたくなるようにメインに配置していることが多い。家ではビールでも外では焼酎ブームかもしれません(まさやん:男性・四〇代)
特にビール類が減った印象や記憶はありませんが、残業の増加や飲酒運転規制等により、飲む機会が社会的に減じている事実は否めません。若い方の飲酒機会減も、単に世代の嗜好性で語られるべきではないと考えます(茄子茗荷:男性・五〇代)■

2007年10月実施