純米にこだわる人は五二%

 日本酒の製法に関する規定が昨年から改正された。飲み手からみて一番大きく変わった部分は、従来は認められていた三倍増醸酒が、日本酒としてはつくれなくなった(今後は酒税法上ではリキュールと表示される)ということである。
 日本酒に糖類やアルコールを加えることが認められていると説明すると怪訝な顔をされることが多い。しかし現在流通している日本酒の九割はアルコールが添加されたものだ。
 「日本酒は純米酒に限ると思う」と答えた人は全体ではYES五二%、NO四八%とほぼ拮抗している。性別では、YESは男性で五五%、女性で四七%と八%ほど差が開く。また年齢別では、二〇〜三〇代ではYESが四三〜四八%と半分以下なのに対して、六〇代以上では六二%と高くなる。ここから類推すると酒をヘビーに長く飲んでいる人のほうが純米酒にこだわりが強いのかと思えるが、飲酒頻度別にみると有意差が出てこない。多くの酒を飲んでいるかどうかよりも、酒に対する情報量・経験回数が、純米酒を支持する人を増やしているのではなかろうか。
【マスターTの感想】
 日本酒は、原料や製造工程の微妙な差異で味わいが異なってくる。しかし、純米酒かそれ以外(少量のアル添酒など)かという理由で味が変わるとは思えない。
 純米酒という表示は、吟醸や生酒とは異なり味のタイプを表す言葉ではない。したがって、純米酒が好きという言葉は、好みの味を指す言葉ではなく、製法や原料への共感・安心感等のウェイトが大きいのであろう。
 嗜好品でもあるし、醸造酒なのだから理念としては純米酒であって欲しいと考えることに無理はない。一方で、毎日のように飲む生活物資という側面もあるので、こだわりの酒を飲むとき以外は、なるべく安価であって欲しいのも事実だ。
 日本の米は国際相場よりもはるかに高い。他の加工食品や酒類の中で原料が一〇〇%国産しか使っていないというものはとても少ない。もしアル添酒、糖添酒を全否定してしまうと、経済的な価格帯の日本酒は消えてしまうことになる。だからといって外国産の米を使って日本酒(純米酒)を名乗る酒が出てくるくらいならば、国産米にアルコールを添加する現状の酒のほうが「日本酒」の名前にふさわしいと思う。
【「YES」の理由】
アルコール添加されているお酒は次の日まで抜けずに残るから(かわちゃん:男性・二〇代)
なんとなくセレブな気持ちになれるのが嬉しい(あやこ:女性・二〇代)
法律が許すからと混ぜ物をするのは消費者として許せない。国が認める食品偽装ではないか。純米などという表示は恥ずかしさの極みだと思う。正当な物以外はリキュールにすべきだ(犬丸:男性・三〇代)
私はお酒が好きで食べながら飲むのでほとんど顔に出ません。でも、アルコールを添加した日本酒を飲むとすぐ顔が赤くなります。酔い方も、のぼせる感じになります。純米酒を飲んだ時は、ゆっくり酔えて、悪酔いせず、酔いが抜けやすいのです(あひる:女性・三〇代)
やはりピュアなイメージが純米酒にはある。人工的な物をなるべく取りたくないという気持ちもあります(iruka3:男性・四〇代)
使用されている米、水、麹の味が一番感じられるのは純米酒ではないでしょうか。食べ物の味を生かすのも純米酒だと思います(ユタカパパ:男性・五〇代)
添加物が入っているイメージを与える本醸造よりも、不純物のない「純米」イメージが与える影響は大きいと思う。私も、純米派で醸造アルコール添加の酒は避けていますが、正直なところ味の違いはわかりません(yacchan:男性・六〇代以上)
【「NO」の理由】
純米だろうがアル添だろうが美味しいと思えばそれで良いと思います(ればおん:男性・二〇代)
純米酒も美味しくて好きですが、純米酒でなくても、安全な材料・製法で作ったお酒で美味しければいいと思います(ひろ08:女性・三〇代)
自称日本酒ファンは「アル添は偽物」「純米以外は日本酒と呼ぶべきではない」という通ぶった人が多い気がします。そのくせ高い日本酒は買おうとしない「偽物の日本酒ファン」には辟易します。私が純米にこだわらないのはそういった人への反発と、丹精込めて酒を作る蔵元への敬意でもあります(うま:女性・三〇代)
こだわりは持っていたいと思いますが、それは好みの味に対するこだわりです。純米酒も吟醸酒もそれぞれの味わいと個性があり、どちらも大好き(びび:女性・三〇代)
たしかに純米酒にはその蔵の個性があり、旨いと思います。しかし、純米酒以外でも個性は出せますし、旨い酒はたくさんあると思います。さらに純米酒でもあまりおいしくない酒もたくさんあります(亀の尾大好き:男性・四〇代)
飲んで美味しかったお酒を選ぶので、純米酒とは限りません。以前は必ず添加アルコールを使っていないかを見ましたが、最近はあまり気にならないです。少々入っていたほうが飲みやすいのは確かです(KJ:女性・四〇代)
お酒との付き合い方は十人十色。付き合い方が違えば「旨い酒」の定義や味わいも異なってくるのです。誤解をおそれず言えば、「酒は純米酒に限る」という拘りは、あまり量を飲まないで日本酒の薀蓄だけ語りたい人たちの話題ではないかと思います(阿武隈聡:男性・五〇代)  ■

2008年04月実施