和食のマナーを知りたい人は八八%

 箸の使い方を知らない日本人はいないだろうが、盃事の作法は神前結婚でもしない限り体験することはない。そして和食の食べ方や宴席での盃の応酬となるとわからないことは多い。和風の宴席の作法そのものが、洋食のように定型化されておらず、また時代とともに変わってきていることも背景にはあるだろう。
 盃の応酬ひとつとってもさしつさされつもあれば、ひとつの盃を上座から巡らせて飲むお流れ頂戴の方式もあり、場面に応じて変わってくる。長野県庁のように酒の無理じいを無くし、若い人が気遣いをせずに宴席に参加できるよう、宴席でのお酌を禁止にしているところが出てくるほど、悩ましいものである。
 このような事情もあるからか、和食のテーブルマナーについて知りたいですかという質問に対しては、YESが八八%と高くなった。
 年齢別に見ると二〇代及び三〇代が九三%と他の年代よりも高くなっている。このあたりは実際に酒席などで迷うことが多いことを表しているのだろう。また、性別では女性のほうが九三%と高い。
【マスターTの感想】
 和食の食べ方は簡単なようで難しい。一番簡単そうな寿司でも、箸で食べるのか、手で食べるのかの使い分けもあるし、食べる順番、酒を飲むバランスなど食通と言われる人にはいろいろな流儀がある。和食の席の作法は茶道から派生しているものが多く、現代の宴席には適応させにくい部分もある。細かい部分までマスターする必要はないと思うが、応用を考える基本となる原理くらいはよく知っておきたい。
 また昔風の常識でも現代ではいやがる人も多いお流れ頂戴の作法など、見直すべき点もある。とりあえず、見た目がきれいに見える作法と最大公約数的な常識はマスターしたいものである
【「YES」の方のご意見】
目上の方にお酌をするときに、前から声を掛けたほうがよいのか、後ろから声を掛けたほうがよいのか迷います(もんち:男性・二〇代)
大皿のとりわけは一度で全員分を分けるべきなのか? 悩みました(さいさい:女性・二〇代)
懐石料理で食べ残ったけど、もう食べたくなくて、仲居さんに下げてもらいたい時、どうやったらさりげなくさげてもらえるか(なみぽん:女性・二〇代)
社会人になって一番迷ったのが、空になったお銚子の扱いです。飲み終わったら寝かすと言われました。いまだに正しいのか疑問です(鴨介:男性・三〇代)
乾杯のときに先輩や年上の方が、ビールを間髪を入れずに注いでくれるのですが、先に注いでもらってよいのか、それとも自分が先に注がなければ失礼なのか、いつもあわてます(キミ:男性・三〇代)
居酒屋でも、先付けから順番に注文していったほうが、中尾彬さんみたいな感じがしてカッコいいですね(まめ:女性・三〇代)
堂々としていれば、自身の好きなようで構わないと思います。しかし、例えば焼き魚の食べ方が汚い、吸い物の蓋の置き方が分からなかった、など、戸惑うことは多々あります(はな:女性・三〇代)
焼き魚や煮魚の頭を、分解して食べてはいけないのでしょうか。頭が一番おいしいと思っているのでいつも悩みます(shima:女性・三〇代)
乾杯をするとき相手の方とちょうどいい高さで合わせるのか、それとも目下なら少し低い位置で合わせたほうがいいのでしょうか(ヒロママ:女性・三〇代)
宴会で日本酒を上司に注ぐとお返しとして同じお猪口で飲めとお酒を入れていただくことが多いです。とてもいやなのですが、断ってもよいのか迷います(ふみあこ:女性・三〇代)
日本酒の場合、一杯が少量であるため、お酌をし合い続けると会話が途切れがちになる。お互い様ということで手酌にしたい(HISA:男性・四〇代)
目上の人からお酒を注がれた時、グラスを空にして受けるのが礼儀なのか、飲むまで待たせるのは悪いので、そのまま受取るのが良いのか悩みます(けんちゃん:男性・四〇代)
魚の焼き物が出てきた時、皮が上になって出てきますが、それを裏返しにして食べていいのか、皮を取ってから食べるのかと迷いました(ねずみ:女性・四〇代)
食事のマナーは、最低限のことを守っていればOKと考えます。美味しく食べることを優先しています。が、同席した人(特に上司や客人)へのお酌の順番やタイミングは対応に困ることもある(こーたろう:男性・四〇代)
よく席を立ってお酌にゆく人がいますが、どうしても自分はそれができません。やっぱり上司にはお酌をしなくてはいけないのでしょうか(優しい狼:男性・五〇代)
貝の汁物などの時に中の身を食べてよいのか迷います(ちびちび:女性・五〇代)
枡の中に入れられたグラスのお酒の飲み方。グラスの分を飲み終わった後に枡の中のお酒はどうしたものでしょうか(おかん:女性・五〇代)
和食のテーブルマナーは、知っているようで知らないものだと思います。サラリーマン時代に若い人の食べ方に注意をしようと思いましたが、確たる自信がなくて、躊躇した経験があります。きれいな食べ方は、食事を楽しく、美味しくするものなので日常の食事時でも気をつけています(おとべダンディ:男性・六〇代以上)■

2009年10月実施