8割弱の人は手酌を好む

 宴会など大勢で酒を飲む場面で気になることのひとつに、どんなタイミングでお酌に回るかということがある。ビール・日本酒などでは注ぎ合うことがマナーであるという思い込みが強いからだ。確かにお世話になった人、励ましたい人などに自然にお酒を注ぐということは、自然な行為である。
 しかし、タイミングよくおいしく飲んでもらおうと考えるとお酌も難しい。お酒の残り加減も気になる。日本酒のように盃を干すことが多いと、強要にもなるし、空いたまま放置していると粗忽者という誹りを免れないのではないかとまた心配になる。
 お酌をすると返杯されるので、お酒に弱い人は、そもそも注ぐことに腰がひけてしまうものでもある。だからといって上司や目上の人に注ぎに行かないのも気がひける。一方で注がれる側も本当は自分のペースでゆっくりと飲みたいと思っている部分もある。
 年齢別には、40代以上からYESが80%を超える。YESは30代で75%、20代で65%と若いほうが、注ぎ合いを認める人が多い。男女差はほとんどない。飲酒頻度別でも、「ほぼ毎日飲む」ではYESが81%なのに対して、「週に1〜2日」が69%とあまり飲まないほうが注ぎ合うことに肯定的であった。
【マスターTの感想】
 長野県庁では、昨年6月に副知事の音頭取りで職場の宴会でのお酌を禁止した。さびしいという意見もあるようだが、若者や女性には好評だという。仕事の延長のように宴会儀礼としての注ぎ合いは、アルハラ・セクハラ・パワハラに結びつきやすく辟易している人が多い。宴会のときの儀礼的な注ぎ合いは最低限にとどめることが現代的といえそうだ。注ぎ注がれた経験の多い40代以上、ほぼ毎日飲む人のほうが手酌を好むというあたりからもうかがえる実態である。
【Yesの感想や意見】
基本的には自分のペースで飲むことが好きなので手酌派。でも乾杯の時やお酌前にはコップを空けるなどの礼儀も大切ですね(にしお:男性・20代)
お酒が好きなので自分のペースで飲みたいときは、手酌のほうが好き。でも、みんなでわいわい飲む場所だと、「飲んでる?」みたいに声をかけて注ぎ合うのも好き。結局、宴会が大好きなので、どちらでも楽しいお酒が飲めればよいです(yuuki:女性・20代)
最初だけならわかりますが、ずっと注ぎあっているのはシンドイです(haihm:男性・20代)
宴会では注ぎ足されたら飲まざるを得ない。飽食の時代にはたくさん飲み残して、それが当たり前のような風潮もありましたが、今は「エコ」。必要な分だけ注ぎあう、飲めない分は断る、そんな大人のお付き合いをしたい(風来のまさろと:男性・30代)
どこの方達か忘れましたが、注がれたら飲んで注ぎ返すのが礼儀のように教えているところもあるようです。これでは、すぐに酔いつぶれてしまいます(hanayan:男性・30代)
多くの人と飲む席では注ぎあうのも仕方ない事と割り切っているが、ペースが乱されるので苦手である。まだ半分近くあるのに「ささ、どうぞ」などと言われると、残りの酒を急いで流し込み相手の酌を受ける。酒を味わいながらゆったり飲める相手であれば、注ぎあうのもいい(あまちゃん:男性・40代)
注ぎ合うのもひとつのコミュニケーションの手立てです。最初の一杯はみんなで注ぎ合いたいです。でも、あとは自分のペースで飲みたいのが本音(りょうちゃん:女性・40代)
接待の場合は別ですが、プライベートの時は気付いたら注ぐ、という感じで良いのではと思います。以前、職場の上司に「注がせないのか?」としつこく勧められ我慢していましたが、ついに「自分のペースで飲みたい」とやんわり断った所、自分の酒は飲まないらしいとネチネチ嫌味を言われ驚きました。私はお酒が好きだからこそ、本当に、自分のペースで楽しみたい(つんつんも:女性・30代)
【Noの感想や意見】
お酒を注ぎあうということは、普段話しかけにくい人にもコミュニケーションが取れたり、さらに親交を深めることができる。積極的にすべきだと思う(フレッシュ:男性・20代)
長野県民です。酌み交わすことはその人をもっと知りたいという表れ、また敬意を表することにもつながると考えます。相手のことを学ぶ最高の機会だと思っています(raul:女性・30代)■

2009年11月実施