年間通して燗酒を飲む人は20%

 日本酒好きには嬉しい季節の到来。鍋を目の前にして燗酒を味わうのも楽しい。今回のさけ放談では燗酒をテーマに取りあげた。
 「燗酒はお好きですか?」の質問に対して、「YES(年間を通して飲んでいる)」20%、「YES(飲むのは寒い時期だけ)」51%で、「NO(日本酒は好きだが燗酒は好まない)」19%、「NO(日本酒そのものを好まない)」10%で、「YES」が回答者の7割を超える。
 男性は燗酒を好む割合が高く、女性では「NO(日本酒は好きだが燗酒は好まない)」が2割を超える。
 年齢が高くなるほど「YES」が多くなるのだが、その差は、「YES(飲むのは寒い時期だけ)」の多少(20代38%、60代以上59%)による影響が大きく、年間通して燗酒を飲む人は年代を問わず2割前後である。また、20代では27%が「NO(日本酒そのものを好まない)」と答えており、若い年代層での日本酒離れという傾向を裏付けている。
 飲酒頻度別で見ると、ヘビーユーザーほど燗酒を好む人が多い。週に5日以上飲酒している人では4分の1が年間を通して燗酒を飲むと答えている(図表1)。

燗のつけ方は6割が電子レンジ

 「自宅での燗のつけ方を教えてください」と聞いたところ、「主に電子レンジでとっくりなど酒器で温める」34%がトップで、「主に鍋に湯を沸かして温める」30%、「主に電子レンジでコップで温める」26%が続き、「酒燗器を使っている」は5%であった。電子レンジ使用は6割を占める(図表2)。
 燗酒の好きなところやこだわる部分を自由記述してもらったところ、「体が温まる」がもっとも多く、3割を超えている。次に多いのは「香り」、「ぬる燗」、「味」、「熱燗が好き」、「鍋物に必須」などである。
 「体が温まる」では「体の芯からあったまる気がする。ほっこりできる」(女性30代)、「のどを通って胃にず〜んと沁み込む感じがするところがいい。香りも大好き。ゆっくりと語り合いながら飲むにも、一人で静かに飲むにもぴったり」(女性40代)、「甘口の酒をぬる燗で飲むとカラダがよく温まる。寒い冬は燗酒でおでんや湯豆腐を食べると日本酒の良さがわかる」(男性50代)、「体の芯からじ〜んとあたたまる瞬間がたまりません。肴はあえてつめたいものばかりにします」(女性30代)、「『キューっ』と飲む飲み口、飲み干した後の『カーッ』と来る溜め息がたまらない。擬音で飲む酒という点が好き。冷えた体がすぐに温まる点も好き。こだわる部分は燗する容器と、徳利、お猪口。安酒ならガラスコップ。ぬる燗向きの酒なら錫のチロリ。骨太酒なら備前」(男性40代)。引用が長くなったが、体も心も温まる感じやこだわりがよくあらわされている。
 「香り」では「鼻に暖かいお酒の香りが抜けるときが至極です」(男性40代)、「『香りが立つ』ところ。酒の良し(うまい)・悪し(まずい)がすぐわかる」(男性40代)、「まず漂う香り、そして口に入れた際の口当たり。こんな風に書いているだけでゴクリと喉がなる」(女性50代)など。
 「ぬる燗」では「熱過ぎては酒の味を感じない。日本酒のおいしさを感じる飲み方です」(男性50代)、「山廃をぬる燗から人肌の間くらいにして飲んでいる。酒の芳醇さが増すような気がする」(男性40代)、「人肌が好きで熱燗は好まない。舌に柔らかく味が楽しめるので、冷で飲む時とは違った楽しみ方が出来ると思う」(女性60代以上)。
 「味」では「比較的安いお酒でも燗酒にすることによって、おいしく飲めるところ。いいお酒は、ぬるめ。安い酒は熱めで飲んでいます」(男性30代)、「温度の違いにより、同じ日本酒が全く違う味わいになる」(女性50代)、「甘くておいしい」(男性20代)。
 「熱燗が好き」では「冷酒の淡麗な飲み口とは異なり、うまみが口一杯に広がる本醸造酒の熱燗は私にとっては冬限定の飲み物です。特に関西風の薄味おでんとの相性は何ともいえません」(男性40代)、「熱燗にしてチビリチビリ情緒を味わい飲む酒に執着しています」(男性60代以上)、「熱燗にすると、お酒が優しい味になる。お湯がわくのを待っている時間も楽しいです」(女性30代)。
 「鍋物に必須」では「鍋物には辛口の燗がたまりません」(男性40代)、「特に鍋物料理での熱燗は日本人として最高のパートナーではないかと思って飲んでいます」(男性60代以上)。
 逆に、日本酒は好きだが燗酒は好まない人たちにその理由を聞くと、冷酒や常温は好きだが、匂いや味が苦手という答えが目立つ。具体的には「熱を加えると飲む前からお酒のにおいが気になり、それが臭く感じる」(女性30代)、「冷酒は飲みますが、熱燗は甘く感じてしまう。悪酔いしてしまう傾向があり、美味しいというより酔えばいい的な物になりがち。燗にするとどの日本酒も味が似てくる」(男性40代)、「せっかくの酒の味が飛んでしまうから。気温程度の酒が好き」(男性50代)。
 日本酒そのものを好まない人では、「もともと日本酒自体が少し苦手です。熱燗は匂いもきつくなるので苦手です」(女性30代)、「チューハイなどのほうが飲みやすく、バリエーションが豊富だから」(女性40代)など、匂いや酔い加減が苦手意識を強めているようである。■

2010年09月実施