伝統行事の節分に、恵方巻を食べるという新風習が全国的に広まっている。もとは大阪の一部だけの風習で、海苔の販売促進のために昭和40年代に問屋が共同して広め始めたという。20年ほど前に全国チェーンのCVSが取り組みはじめたことを契機に全国区の行事に成長した。今回は節分をテーマに恵方巻やお酒の飲み方などを聞いた。
最初は「あなたは節分に恵方巻を食べると思いますか」という質問。「YES（毎年かかさず食べている）」43％、「YES（毎年ではないが来年は食べると思う）」22％で、YESが65％に達している。一方、「NO（食べた年もあるが、来年は食べないと思う）」が13％、「NO（食べたこともない）」15％、「NO（節分は何もしていない）」7％で恵方巻をまったく食べたことのない人は約2割であった。
恵方巻を毎年かかさず食べている人は女性のほうが多く5割にのぼる。また20代は6割強になっている。女性や20代の情報のキャッチや実行力の強さを示しているのであろう（図表1）。
節分には熱燗が人気
「恵方巻と一緒に飲みたい飲み物を選んでください」と聞いたところ、「日本酒」が64％と圧倒的に高いが、これは冬場という季節も影響しているのであろう。次点は「お茶」30％、「ビール」29％でほぼ並ぶが、酒類との関係性自体があまり強く出てこないものと思われる（図表2）。
「節分のときにしてみたいお酒の飲み方」についてもほとんどが日本酒に関することであった。それでもキイワードをいくつか選びだしてみると、「熱燗」がトップで、「日本酒」、「燗酒」、「枡で飲む」が続く（図表3）。
「熱燗」や「燗酒」では、「寒いときは日本酒の甘いものを熱燗にして飲んでみたいです」（女性20代）、「寒い時期なので、熱燗で飲みたい。巻き寿司の海苔の香を殺さない程度の、やさしくわずかに香る日本酒なら、飲みたいです」（男性30代）、「脂ののった鰯の塩焼きには熱燗の日本酒が欠かせません。キレのある辛口のお酒がよく合います」（男性40代）、「寒いので熱燗です！ 辛口のお酒をあつ〜くして、キュッと飲むと体が温まります」（女性40代）、「『鬼ごろし』や『福来』あたりを用意して熱燗。ストーブで豆を炙りながらあったまる、というのはどうでしょう」（男性50代）、「日本酒をちょっとぬるめのお燗にして」（男性60代以上）など、節分というよりも寒いときの酒の飲み方という意識が前面に出ている。
ご飯なら日本酒 もちろん恵方巻にも
「日本酒」では、「豆をおつまみに日本酒をちびちび飲みたいです」（女性20代）、「大人の節分として日本酒を一升瓶で飲みきってみたいですね」（男性30代）、「巻き寿司をまいて吉方を向いて無言で食べるのが１本と、残りは小さく切って美味しい冷酒（日本酒）とゆっくり味わう」（女性40代）、「ご飯には日本酒が合います。だから恵方巻には日本酒でしょう」（女性50代）、「私は日本酒が好きです、残った豆をつまみにして飲んでいます」（男性60代以上）で、日本酒をゆっくり味わう楽しさが語られている。
煎り豆をつまみに枡酒
一方で「枡で飲む」では「枡酒。塩をなめなめ」（女性20代）、「煎り豆をつまみに枡酒を飲む」（男性30代）、「豆が入っているマスで飲みたい」（女性30代）、「一合枡にコップをいれて、なみなみに日本酒を入れて、こぼしながら飲む」（女性40代）、「冷を枡酒で」（男性60代以上）と伝統的な粋な飲み方を求める声が多い。
試します！ 恵方巻にハイボール
日本酒以外で飲みたいものとしては、以下のような意見があがっている。「ハイボールと一緒に飲んで相性を試したい」（男性20代）、「恵方巻にハイボールいいかも、と思いました。母が作ってくれた太巻きは鯛デンブの入った甘みのあるものでしたので、がつんとしたアルコールの感じと発泡が合う気がします」（女性30代）、「白いどぶろくと食べたいです」（女性30代）、「フグのひれ酒」（男性50代）、「炒り豆に合わせて、発泡ワインを飲んでみたい」（男性60代以上）。
節分のときの準備の仕方や様子については、「近所のスーパーで恵方巻と豆を買ってきて、夕食前に家族で豆まきをして恵方巻を食べます」（男性20代）、「お豆とお酒とその年になかに巻きたい具を用意して、手作り恵方巻です。毎年、海鮮や焼き肉やツナサラダなどいろんなものを巻いて楽しいです」（女性30代）、「節分は、子供のためにおこなっています。家の中や外に向って『ものをバラまく』という、普段なら絶対に叱られることを堂々と出来るチャンス！ 伝統行事や季節の催事・行事が廃れていく感もありますが、残していきたいですね。正月から春先にかけては、古来からの行事が多く、子供たちに伝え学ばせるには良い頃です」（男性40代）、「毎年、各部屋をまわって、落花生をまきます。『鬼はーソトー』と言いながら。そのあとで、また一周して拾い集めて、酒のつまみにしてポリポリ食べます」（男性40代）など、各家庭での伝統行事の変遷が浮かび上がる。 ■
