予算を減らす人は現段階で29%

 夏といえばお中元をと、日本ではお世話になった人への感謝の思いを込めて贈り物をする習慣が続けられている。日頃疎遠になっていても、お中元を機に互いの近況を確認しあうなど、コミュニケーションが図られることもある。本年は不景気のうえに東日本大震災もあり、お中元事情はどうなっているのかが気になるところ。今回のテーマはお中元である。
「お中元の予算は例年通りですか?」の質問に対して、「YES」が37%、「NO(昨年よりも増やすと思う)」12%、「NO(昨年よりも減らすと思う)」29%、「昨年も今年も贈らない予定」22%になっている。約3割が予算を減らすと答えているのは、生活者にとってはやむを得ないのかと思わせるが、国の経済を考えると不安材料になる。

中元リストラは単価ではなく件数

 男性より女性のほうが減らす傾向が強く、女性では「例年通り」よりも「減らす」の割合が上回っている。年代別で見ると、年代が高いほど「例年通り」と答える人が多いが、60代以上になると「昨年よりも減らすと思う」の割合が約4割と高くなっている。定年などで仕事関連の中元が減少することや今後の生活への不安なども影響しているのかもしれない(図表1)。
 ちなみに、「NO」と答えた人にそれぞれの理由を聞くと、昨年よりも増やすと思う人は「贈る相手が増えるから」が8割を超え、「昨年よりも高価なものを贈るから」は1割程である。一方、昨年よりも予算を減らす人は「贈る相手を減らすから」が6割、「1件あたりの価格を下げるつもりだから」が3割である。どちらも単価よりも贈る相手の数との関わりが大きい。
 「今年のお中元で贈りたいと思うもの」では、「例年と同じもの」が35%がもっとも多く、「産地直送の食品」20%、「ビールの詰め合わせ」16%、「東北産の食品や酒類」16%、「日本酒」14%が続き、「まだなにも考えていない」人が1/3である。(図表2)。
 女性より男性が、そして年代が高くなるほど「例年と同じもの」と答える割合が高い。被災地への応援として考える「東北産の食品や酒類」は女性や20〜30代の若年層が比較的高い。また20代では「洗剤など実用的なもの」29%がもっとも高いが、40代以下では4割が未定なので、この世代の興味をひくような売場提案をすることが効果的だと考えられる(図表3)。

喜びそうなものに自分流も付加

 最後に「ギフトを贈るときに心がけていること」を自由記述してもらった。圧倒的多数は「相手が好む、喜びそうなもの」で、以下「自分がもらって嬉しいもの」、「家族構成を考える」、「もらって困らないもの」、「ふだん使えるもの」などである。
 「相手が好む、喜びそうなもの」という答えは当然至極であるが、オリジナルなものを付加するなど工夫している具体的な意見を紹介しよう。
「自分で考えて、相手にあったものを選ぶ。簡単な詰め合わせを買うのではなく、自分でラッピングするなど、オリジナルの内容にする」(女性20代)
「相手の嗜好や好みを考えて、自分では買わないけれど、もらったらうれしいものを考えるようにしています」(女性30代)
「相手がおもしろい、新しいと思うものを選ぶようにしています」(男性20代)
「贈り先に喜んで貰える特定の銘柄を限定しています」(女性50代)
「気にいっていただけそうなものにしますが、自分でもどこでもいつでも購入できそうなものは避けています。贈る際には手渡しでも郵送でも手書きのメッセージカードを付けるようにしています」(女性40代)
「喜んでもらえる商品を選びます。去年と同じ日本酒を贈らない。飽きさせない」(女性30代)
 「自分がもらって嬉しいもの」では「自分が、飲んだり食べたりしておいしいと思えるものを贈ること」(女性40代)が代表的な意見。
 相手の「家族構成を考える」という意見は。
「相手の家族構成に合わせて、何が喜ばれるか考えています」(男性50代)
「贈り先に娘さんがいるので、娘さんの好きそうなスイーツを送ったりしています」(女性30代)
「家族構成や嗜好に合わせて、いろいろと選んでいます。今年のお中元は、東北地方の復興支援に関する商品のセットが多くありそうなので、ぜひこれらの中から先方のお好みに合わせて選んでみたいと思います。美味しく楽しく、復興のお手伝いになれば幸せです」(女性30代)
 「もらって困らないもの」、「ふだん使えるもの」では、保存方法に苦労しない、もらって負担にならない、使ってもらえることを考えている。
「贈る相手の好みがあるので、受け取って困らない洗剤や油などが多いです」(男性20代)
「食品ではなく実用的なものを選んでいます。商品券やカタログギフトがお気に入りです」(女性20代)
「冷蔵庫に入れなくてもよい常温保存できるもの」(女性50代)

2011年05月実施