銘柄は一定している人は43%

 ビール類の新製品の数がぐんと少なくなってきた。新製品を出しても既存定番の牙城を崩せなくなってきたからだ。定番回帰と考えるのか、新製品の魅力が弱いのか、ビール類を嗜好品として楽しむことが減っているのか、評価の分かれるところだ。
 今回の「自宅で飲むビール類(発泡酒・新ジャンル含む)の銘柄は決まっていますか?」という問いに、「YES(ほぼいつも同じ)」は43%であった。「NO」は内訳をみると「同じ価格帯のものでいろいろ変わる」が27%、「その都度選んでいる」が24%で拮抗していて、「同じメーカーでいろいろ変わる」は2%しかない。銘柄が固定していない人は、メーカーにこだわって選んでいるわけではないようだ。
 性別に見ると、女性では「同じ価格帯のものでいろいろ変わる」が3割を占め、男性に比べやや価格重視の傾向がうかがえる。年代別で見ると、40代は「NO」が6割を超えていて、他年代に比べブランドロイヤリティが低いようである。一方、飲酒頻度が高い人ほど「YES」が多く、「その都度選ぶ」が少ないので固定化がうかがえる(図表1)。
飲酒頻度が高い層は新製品も試す

 「新製品や季節限定品は選ぶほうですか?」という質問に対しては「必ず1回は飲んでみる」が46%。半数の人は一度は試してみるようである。また「お気に入りのメーカーのものであれば必ず試す」という人も2割いる(図表2)。
 年代別に見ると、40代の6割をピークに若い人も年長者も飲んでみるという比率は低くなる。50代以上になると「慣れたもの以外飲もうと思わない」の比率も上がり、ビール選択が保守化していることがわかる。一方で、飲酒頻度が高い人ほど新製品への関心も高いこともわかる。(図表3)。
 最後にビール類で、お気に入りを選んでいる理由を自由に記述してもらった。浮かび上がったキイワードは「好みの味・おいしさ」がトップで3割を占める。次は「価格」で、「好みのメーカー・銘柄」、「飲みやすさ」、「喉ごしのよさ」、「糖質オフ」などが続いた。自分の口に合ったものはもちろんだが、価格もかなり重要である。さらに、普段飲みは安いもので我慢して、休日などたまにちょっとリッチにするなど、棲み分けている人も結構見受けられる。かつてテレビでも流れていた週末はプレミアムビールをのCMの影響が残っているのかもしれない。
好みの味・おいしさ重視
「夏なら『切れ味が良く、喉ごしがさわやかなもの』、秋冬は『コクがあり本格的なもの』というスタンスで、かつ特売等で安くなっているものを選ぶ」(男性40代)
「毎日飲んでも飽きないシンプルな味わいの新ジャンルが好きです」(男性40代)
「ビール本来の風味があって味が良いビールを飲みたいから」(男性50代)
「やはり本来の苦みと旨味のあるビール」(女性60代以上)
「苦味こそが大人の味だ」(男性60代以上)
価格重視
「本物のビールは値段が高いので、発泡酒や第三のビールをその時の気分で選ぶ」(女性30代)
「夫婦で毎晩夕飯時と就寝前に飲んでいます。やはり価格を考えると発泡酒になりますね」(女性40代)
「単に安いから。家で飲むときはコストパフォーマンスを重視する」(男性40代)
「普段は安価な新ジャンルですが、週末だけはプレミアムビールを飲むのがちょっとした幸せです」(女性30代)
好みのメーカー重視
「夫がキリンを好きなので、他のメーカーのものを買って『イマイチ』と言われるよりは、無難にキリンを選んでしまいます」(女性30代)
「パブロフの犬のように、その銘柄のビールを飲んでほっとする、というのが習慣」(女性30代)
「すっきり系が好きなのでアサヒ派。家で飲むのは家計に優しいクリアアサヒです。近所のドラッグストアで毎月3ケースほどまとめ買いします」(女性30代)
「昔から、ずっと、キリンのラガー。あの苦さがたまらなく好きなので」(男性50代)
喉ごしのよさ・糖質オフなど
「喉ごしが一番大事ですね」(女性50代)
「喉ごしが良く、気分が良くなるから」(男性60代以上)
「太りたくないので糖質ゼロのものを選びます」(女性30代)
「家族に血糖値の高い者がいるので、皆が一緒に楽しめるように糖質ゼロの発泡酒を選んでいます」(女性40代)
「プリン体と糖質がオフのものを選んでいるので、銘柄は大体決まっている」(男性60代以上)   ■

2011年09月実施