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ウイスキーが登場する映画のワンシーンを拾い集め、どのような文脈でその酒が選ばれたのかを読み解いたエッセイ集『ウイスキー アンド シネマ 琥珀色の名脇役たち』(淡交社刊)。昨年11月、待望のシリーズ2作目が刊行されました。著者でウイスキーと映画とケルト文化を愛してやまない武部好伸さんに、それらの魅力をお聞きします。
■ウイスキーの人気が高まって本を出せた
−− 最初に洋酒が登場する映画のシーンを採りあげたエッセイ『シネマティーニ 銀幕のなかの洋酒たち』を出したのが1999年、次の『ウイスキー アンド シネマ』が2014年、そして昨年末にその続編を刊行とペースが上がっています。
武部 ええ。『シネマティーニ』(淡交社刊)は映画ファンの会報に寄稿していたものを、おもしろいじゃない、本にしてみようという感じで始まりました。ウイスキーだけでなく、カクテルやワイン、スピリッツなど洋酒ならなんでも採りあげて、まあまあ売れました。8000部刷って、もう一刷しようかというくらい。そのあとにいちばん好きなウイスキーだけのものをやりたかったのですが、出版社からはもう少し待とうと言われました。
−− 当時、ウイスキーは愛好家の間でシングルモルトが盛り上がっていましたが、2008年頃からのハイボールのブームまで裾野が広がりませんでしたからね。
武部 GOサインが出て、『ウイスキー アンド シネマ』を出版したのは忘れもしない2014年の1月。ハイボールが津々浦々の酒場に広がって、NHKで『マッサン』が放送されていた時です。
−− 絶好のタイミングではないですか。
武部 はい。その後、すぐに続編をやりたかったのですが、某誌で連載をしていたので、そちらで発表してからでないと本にできませんでした。ネタはもうたくさんあって、いつでも出版できるのに進められなかった(笑)。
−− ウイスキーのどこがお好きなのですか?
武部 熟成させるところです。熟成して味が変わっていくというところが人生に似ていると思えて。ジンやほかの酒ももちろんいいんですけれど、やっぱりウイスキー。
■きっかけは『グレンフィディック』
−− ウイスキーを好きになったきっかけは?
武部 大学を卒業して新聞社で記者をやっていた頃、同僚や先輩と安酒場でしょっちゅう飲んだくれて、酔えればいいという酒飲みでした。それがある時、下戸の親戚が回してくれたもらい物のウイスキーがすごくおいしかったんです。見たこともない三角の瓶で、けったいなやっちゃなぁと思って飲んだら、めちゃくちゃうまい。『グレンフィディック』でした。そのころはシングルモルトなんて誰も知りません。海外旅行に行ったらお土産に必ず『ジョニ黒』や『バランタイン』を3本ぶら下げてきた時代です。
−− 昔はウイスキーに高額な税がかかっていたので、免税では驚くほど安かったですね。
武部 そう。そんな時に『グレンフィディック』と出会って、もう33歳だし、大人の酒飲みになろうと思いバーに足を運ぶようになった。そしてウイスキーやカクテルを覚えました。「酒飲み」から「酒好き」に変わったんです。
−− なるほど。『グレンフィディック』には私も思い入れがあります。15年前に一度だけスコットランドに行ったのですが、最初に訪ねたのがグレンフィディック蒸溜所でした。広い敷地に趣きのある古い建物が並び、それでいて活気がありました、懐かしいです。
武部 それがちょうど入社10年目で、うまいことに10日間の休暇をもらえることになりました。ちょうどいい、この機会にこんなうまいウイスキーをつくるスコットランドに行ってみようとなって、蒸溜所を訪ねたりスコットランドの自然や人々と触れたりして、さらにウイスキーが好きになります。その時に、学生時代にイギリスに行った時には気がつきませんでしたが、スコットランドがイングランドとずいぶん違うことや、ケルト文化を色濃く残していることなどを知ったんです。
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