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ハイボールのブームで懐かしい顔が帰ってきました。ニッと笑った禿げ頭の二頭身。アンクルトリスです。
生まれたのは昭和33年(1958)と高度経済成長期のまっただなか。当時、寿屋(現サントリー)に在籍していた柳原良平氏から「身体」を、開高健氏から「魂」を、CMプランナーの酒井睦雄氏から「名前」を授けられた彼は、庶民のウイスキー「トリス」や「レッド」の顔として、半世紀を過ぎた今も愛され続けています。今回はそんなアンクルトリスの居るお店を訪ねてみました。
■ニューカヤバ(東京)
東京証券取引所のある茅場町は言わずと知れた株の町。海千山千、生き馬の目を抜く証券マンが跋扈する茅場町の路地裏にあるこの立ち飲み屋。赤ちょうちんを頼りにガレージの奥に進むと、現れるのは白いワイシャツ姿のサラリーマンでにぎわう酒場。おばちゃんが立つレジカウンターには、小鉢に入った惣菜が並んでいます。
壁際には酒の自動販売機がずらり。無骨な直方体は清酒・泡盛・焼酎で、清酒は燗とひやが選べます。トリスの自販機は円形で、コップを置いてコインを入れるとワンショット分ウイスキーが出てくる仕掛け。
ここに居たのはデジタル時計に乗ったアンクルトリス。けっこう大きくて30cmくらいあったでしょうか。服のしわがリアルです。

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ニューカヤバ
中央区日本橋茅場町2-17-11
03-3664-7315
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■ブリック中野(東京)
昭和30年代に一世を風靡したトリスバー。そこでは大人の男たちが小冊子を心待ちにしていました。夜の岩波文庫と言われた『洋酒天国』です。編集長は開高健。ちょっと先を行く男の趣味が満載のPR誌。
東京で当時の面影を残すバーの筆頭がブリック中野です。JR中央線中野駅の駅前。中野サンモール商店街の裏手に広がる、小さな飲食店がひしめく一画にあります。
カウンターにはおなじみのアンクルトリスの楊枝立て。サントリーレッドの販促品でつくられた赤い服の印象が強いですが、黒服のものも。背中にトリスの文字がありました。

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ブリック中野
中野区中野5-61-3
03-3388-1263
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■すし処伴(とも)(東京)
東京駅の目の前、八重洲の飲食店街にあるこのお店には、軒下にアンクルトリスが浴衣姿で鮨をつまむレリーフがあります。30年以上前に、柳原良平氏が彫って、開店祝いにと寄贈してくれたものだそう。図案をご覧になって、「10年まえは熱燗で一杯やったものですが……一日のピリオド。黒丸。」というコピーで、鮨屋のご主人が閉店後オールドを飲んでいるポスターを思い出された方もいらっしゃるのではないでしょうか。あの広告は昭和45年(1975大阪万博の年でした。
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すし処 伴(とも)
中央区八重洲1-5-21
03-3278-1644 |
■十三トリスバー(大阪)
大阪でトリスバーと言えばここ。ごちゃごちゃした十三駅前の飲み屋街、50年以上も続く老舗です。「サントリーチェインバー」という行燈看板に誘われて、ドアを開けるとまっすぐ細長いバーカウンター。カウンターの天板だけは張り替えたそうですが、ほかはほとんど開店当時のままだそう。
「これは古いよ」とご主人が指差した先には、かつてサントリーの社章だった向獅子の看板。幅三尺弱くらいのかなり大きなものが壁にかかっていました。自家製コンビーフをつまみにトリハイを2杯飲んで1800円。

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十三トリスバー
淀川区十三本町1-2-7
06-6301-4826 |
■スタンドバー洋燈(ランプ)(大阪)
大阪の中心部。オフィス街を抜けると、前かごに買い物袋の入ったママちゃりが行き交う一画があります。そんな町にひっそりとあるのがスタンドバー洋燈。今年で18年目になるそう。ご主人は「大阪でトリスバーは十三さんとウチくらいになってしまいました」と。
勘定はチケット制。2000円で4枚つづりを買って、飲んだ分だけチケットで払う。飲み物もおつまみもみなチケット1枚。人気のおつまみサバ味噌の缶づめを頼むと、温めて皿に盛って出してくれました。
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スタンドバー洋燈(ランプ)
西区京町堀2-13-5 Proto2 2 階
03-6447-5669 |
■なにわの海の時空館(大阪)
一転してここはミュージアム。なかにアンクル船長のギャラリーがあるというので行ってみました。無類の船好きで知られる柳原良平氏の船グッズのコレクションと、ポスター等の作品が展示されていました。
「人間らしくやりたいナ」「トリスを飲んでハワイに行こう」などの名コピーの新聞広告、アンクルトリスのイラストが入った灰皿やマグカップなどの販促品をゆっくり見ることができます。
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なにわの海の時空館
住之江区南港北2-5-20
06-4703-2900 |
■がってん寿司上海二号店(上海)
日本企業が海外にどんどん進出する時代、アンクルトリスも海の向こうに活躍の場を広げています。これまで輸出の中心は高級ウイスキーでしたが、経済成長著しい地域ではエコノミークラスの需要が急増します。上海ではトリスウイスキーが日系の飲食店に並んで、中国人にハイボールが提案されています。回転ずしはその典型。がってん寿司では週末、プロモーションガールが客席を巡るのでした。
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がってん寿司 上海二号店
徐匯区徐家匯路618 号日月光中心広場4 階
021-6093-8188 |
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